2016.02.20
子羊たちへの義勇兵指南4 神官は「何もしない」のも仕事である。

 私の知る限りでも神官には人格者が多い。直接にモンスターと戦うのでなく、傷ついた仲間の癒し手となることを選んだ者たちだ。皆、責任感が強く、傷ついた者、困っている者を放っておけない優しさがあり、常にパーティ全体の様子に気を配る視野の広さがある。そんな神官らは、しばしば前線を支えるので手一杯の戦士に変わり、パーティの実質的なリーダーになることも少なくない。

一方、彼らが犯しがちな失敗が、「仕事をし過ぎる」ことだ。どんな些細な傷でも見逃せず癒しの力を使う。あるいは仲間が苦戦しているところを見れば、みずからも積極的に戦う。一見、悪いことではないように見えるかもしれないが、癒しの力は無尽蔵に使えるわけではないし、癒してが不用意に前に出て戦闘不能に陥ったら目もあてられない。肝心な時に癒し手として動けなければ、どんな働きも意味がないのだ。

神官諸君。仲間が必死で戦っているのをただ見ているだけ、というのは責任感の強い君たちに辛い状況だろう。だが次の瞬間、どんなことが起るかわからないのが実戦だ。不測の事態に即座に対応できるよう、「何もしない」ことを選ぶこともまた、神官の立派な役割である。「何もしない」ことを躊躇うな。

迷える子羊の導き手“コーギ”
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