2016.01.27
深刻化する戦士&神官不足

「戦士・神官募集、
 当方、魔術師、盗賊、暗黒騎士、狩人」


「求む神官! 転職費用当方負担。
 初心者歓迎」


「戦士募集・聖騎士も可」

 ここ最近、シェリーの酒場をはじめ、義勇兵が集まる場所で目立つのがこんな張り紙だ。仲間たちの盾となって敵の攻撃を一身に引きつける戦士、そしてその傷を癒す神官は、義勇兵のパーティに欠かすことができない重要な職業だが、同時に、敵の狙いが集中する、極めて危険な立場でもある。
 常に最前線で戦う戦士が危険なのはもちろんだが、ある程度、知能のある敵であれば、その傷を癒す神官を真っ先に狙ってくるからだ。
 たいてい、戦闘の中で戦士や神官を失ったパーティは、まもなく全員がその後を追うことになる。たとえ残りの者が生き残れたとしても、その後が困難だ。
 欠けた戦士や神官の穴をどう補うか。
 パーティに未所属の人間をさがす? そんな人間が都合よく見つかれば苦労はしない。有能な戦士や神官ほど引く手あまたであり、「戦士や神官を守れなかったパーティ」にわざわざ加入してやろうと考えるのは、よほどのお人好しか自殺願望の持ち主だけだろう。
 あるいは生き残ったメンバーの誰かが、転職してその穴を補うというのもひとつの方法だ。だが戦士や神官という危険な役割を誰が担うかで、仲間同士の押し付け合いが起こり、結局、パーティが解散に至るという話も珍しくない。
 十分な資産を持ったパーティに欠員が出てしまった結果、金で他パーティから神官や戦士を引き抜こうとし、義勇兵同士の間での刃傷沙汰まで至った例もある。

 こうした事態は義勇兵団事務所側も認識しており、戦士・神官を志す義勇兵の支度金を水増しする、あるいは他職から戦士・神官に転職する際に補助金を支給するなどの案もたびたび提示されているが、質の低い戦士・神官を量産したところで、義勇兵の被害が増えるだけという反対意見も根強い。

 戦士と神官の死は、しばしば、そのパーティの死そのものとなる。
 義勇兵諸氏は、どうかくれぐれも肝に銘じていただきたい。

本紙記者
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